役員に残業代がつかないわけ

なぜ、役員になると残業代が付かないのでしょう?

 

今回の話は、ビジネスの場で直接役立つ話ではありません。

しかし、理屈や考え方を身につける癖を持つことが、後々レバレッジとして効いてきます。

 

そもそも、従業員は企業とどのような契約を締結しているのでしょうか?

勿論、雇用契約です。

その根拠は【民法623条】にあります。

 

要約すると、雇われ側は労働に従事することを約束します。

これに対して雇主は報酬(対価)を渡すことを約束します。

そして約束と約束が合致した時点で雇用契約の効力が発生するのだ、としています。

 

次に、役員は企業とどのような契約を締結しているか、考えてみましょう。

それは、委任契約です。

委任契約は【民法643条】に根拠が有ります。

しかし、役員が委任契約になると誰が決めたのでしょうか?

その根拠は【会社法330条】にあります。

当該条文では、役員は委任に関する規定に従えと規定しています。

委任契約では役員に対して【法律行為】をしろと言っています。

(法律行為?この話は長くなるので割愛します)

 

両者の違いは明らかです。

雇用契約は、企業に従事する”時間”を売る代わりに対価を取得します。

これに対して委任契約は、課題をこなす(解決する)ことで対価を得るのです。

 

役員に求められるのは結果です。

『時間が足りない』というなら、捻出するしかありません。

時間に余裕があるなら、新たな儲けを創出するべきでしょう。

 

『経営者の視点を持って働いてほしい』とは、上記の違いを述べているのだと思います。